バイジュベックゲルの基本情報

バイジュベックゲルは、栄養障害型表皮水疱症の患者さんの皮膚の細胞に、7型コラーゲンを作る遺伝子を直接届けることで、治療をおこなう遺伝子治療用製品です。

※遺伝子治療:

病気の原因となる遺伝子の異常を直したり、足したり、無効にすることで治療する方法。
遺伝性の病気やがん、免疫の病気などでの研究が進められ、未来の医療として期待されています。

バイジュベックゲルのはたらき

栄養障害型表皮水疱症の患者さんでは、皮膚を支えるタンパク質(7型コラーゲン)を作る遺伝子に変化があるため、このタンパク質が生まれつき無かったり、もしくは少なくなっています。

7型コラーゲンとは?

7型コラーゲンは表皮と真皮をしっかりとつなぎとめる「アンカリングフィブリル(係留線維)」という糸のような構造を作りますが、これが作られないことで、表皮がはがれて傷ができ、その間に体液がたまることで、水ぶくれ(水疱)が生じます。

通常の皮膚と栄養障害型表皮水疱症の患者さんの皮膚のイメージ図

バイジュベックゲルを投与すると?

バイジュベックゲルを水疱が原因で起きた傷に投与すると、皮膚を支えるタンパク質(7型コラーゲン)の遺伝子が皮膚の細胞に運ばれます。
運ばれた遺伝子によって、皮膚を支えるタンパク質(7型コラーゲン)が作られ、さらにアンカリングフィブリル(係留線維)となることで、表皮と真皮がしっかりとくっつき、傷が治っていきます。

バイジュベックゲルの投与によって傷口が治癒するイメージ図

遺伝子が運ばれるしくみ

バイジュベックゲルでは、病原性がなく、勝手に増えることもないように調整された治療用の「ベクター」と呼ばれる改変ウイルスが使われています。ベクターは、皮膚を支えるタンパク質(7型コラーゲン)の遺伝子をからだに運ぶための乗り物のようなものです。

ベクター(乗り物)は7型コラーゲンを作る遺伝子を皮膚の細胞の中まで運びます。

運ばれた遺伝子は皮膚の細胞に到着して、7型コラーゲンを作るために働きます。

バイジュベックゲルの投与場所

バイジュベックゲルは、病院でもご自宅でも投与ができます。

項目1

病院で投与してもらう場合

病院で主治医や看護師にバイジュベックゲルを投与してもらいます。

週1回の間隔での受診が必要です。

自己判断により、通院の間隔を変えないでください。

項目2

ご自宅で投与をおこなう場合

主治医から適切な指導を受けた患者さんご自身やご家族(医療従事者を含む)が
バイジュベックゲルを投与することができます。

ご自宅での投与をご希望の方は、主治医にご相談ください。

ご自宅での投与を始める前に、必ず主治医や看護師から、適切な指導を受けてください。

バイジュベックゲルの投与場所として、拡散を最小限に留められる投与スペースを確保してください。

主治医と相談の上、経過観察や治療方針決定のために定期的に受診しましょう。

定期受診ができない場合(体調不良等)でも主治医に経過報告ができるよう、電話等の手段を話し合っておきましょう。

※バイジュベックゲルが付着した患部や包帯が、
他の人に直接触れないようにできる場所

バイジュベックゲル投与の
注意事項

バイジュベックゲルは、栄養障害型表皮水疱症の患者さんに使うことができます。
週に1回、決められた量を患部に投与してください。

バイジュベックゲルの投与により、皮膚が赤くなったり、患部から出血することがあります。
何か気になることがあれば、主治医、看護師、薬剤師にご相談ください。

次のような方は、バイジュベックゲルを投与できない、投与に際して特に注意が必要な場合がありますので、主治医にご相談ください。

バイジュベックゲルによる治療が受けられない患者さん

- バイジュベックゲルに含まれる成分に対し、アレルギー反応を起こしたことがある。

バイジュベックゲルによる治療に特に注意が必要な場合

- 扁平上皮がんと診断された傷、又はその疑いがある創傷へは使用できません。

- 妊娠している可能性がある女性

- 妊婦、授乳婦

- 6ヵ月未満の乳児

救急時を含め、バイジュベックゲルの治療を受けた病院以外を受診する場合は、バイジュベックゲル連絡カードを見せて、バイジュベックゲルによる治療を受けていることを必ず伝えてください。

バイジュベックゲル連絡カードには、受診した先の医療機関の医師に対し、バイジュベックゲルによる治療をおこなっている施設の主治医へ連絡をお願いする旨を記載しています。

バイジュベックゲル連絡カードは、必要事項を記入の上、常に携帯してご使用ください。

バイジュベックゲル連絡カード
監修:東邦大学 医学部 皮膚科学講座 教授 
石河 晃先生
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